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スペインでの性的暴行【BBCニュース翻訳】

 

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スペインでの性的暴行:アメリカが件数の増加に対し警告

2020年2月5日

スペインのいたるところで性的暴行の報告件数が増加しており、それに対する反応として米国政府はスペインを訪れる米国民に対して警告を発した。在スペインアメリカ大使館が発行しているガイドラインによると、学生や観光客に対して「飲む時は責任を持って」や、一人で観光するのは避けるように、また、自身と関わりのある法律をよく知っておくべきだとも忠告している。

スペイン内務省は、ここ数年で国内での性的暴行が確実な増加を見せていると報告している。

アメリカ大使館は自国の国民が性的暴力の深刻な事態の中にいるとネットで警告した。また、スペインを訪れていたりそこで生活している同国民には「自身の管理下にない飲み物は飲まないように」、「友達や家族と観光する時は二人組になるように」と警告していた。それに「もしあなたが性的暴力を受けているのなら今すぐに112に電話してください。そして刑事司法の手続きと自身の権利を守ってくれる現地の代理人にコンタクトを取ることを考えてください。」と付け加えた。過去五年間を通して報告されている問題の増加に対する対応としてこの忠告を発信したと述べた。

 

1月、スペインの南にあるムルシアという都市で行われた大晦日のパーティーで、若いアメリカ人女性3人が性的暴行を受けたと告訴した。警察はいかなる犯罪も行っていないと否定している3人の被疑者に尋問を行ったと、スペインの新聞のエルパイス紙が報じた。この事件は今も続いている。

 

人権団体「ゲオバイオレンシア」の調査による最新の数字では、2019年のスペインでは複数の犯人によって実行された事件が73件あったとしている。また、2018年は集団暴行事件が60件だったが、2017年はたったの14件だった。

2018年11月、14歳の少女の集団強姦の罪に問われた5人の男を裁定したバルセロナのある裁判所が、性的虐待の中のより小さな罪に当たると判断した後、何千人もの人々がスペイン中の路上に出て抗議した

これについて裁判所は犠牲者が無意識だった為だと答えた。現在のスペインの法の下では、レイプ罪とは暴力と脅迫を利用して行われる性的暴力に対するものである。(訳注:いわゆる暴行脅迫要件でこれを満たさなけれレイプとは認められない、つまりザル

2016年、ウルフパックとして知られ始めた五人の男性による10代女性への攻撃についての報告でスペインはショックを受けた。最初は五人の男性は性的虐待として告訴されていたが、抗議の輪が広がっていった為に、スペインの最高裁判所は後になってウルフパックによる攻撃は集団強姦だと判断し、それぞれに15年間の実刑判決を下した。 

 

↓関連動画


Five men acquitted of gang-raping teenager in Spain

 

 

私見

まずスカッとしたのは抗議の輪が広がっていったことによって判決を変えることができたこと。これはめっちゃ凄いことだと思う。デモが社会の変革を訴える手段として国民レベルで浸透しているということだ。これは見習うべきスペインの素晴らしいところだろう。

それに対して日本の2019年の性犯罪裁判事情は困難に満ちたものだった。立て続けに凄惨なレイプ事件に対して無罪判決をくだされたからだ。

“魂の殺人” 性暴力・無罪判決の波紋 - NHK クローズアップ現代+

それに2019年のジェンダーギャップ指数が121位という驚きの数字が出た。下記の記事を読んでもらうと分かるが、なんと年々総合順位が落ちていっており、2019年でガクっと順位を落としている!

つまり年を追うごとに性差別がより酷くなっていっているということだ!酷すぎる!

2019年「ジェンダー・ギャップ指数」日本が110位から121位へ(153カ国中) | 世界のデータ | 国際協力NGOジョイセフ(JOICFP)

ヘルジャパンという言葉をツイッターでよく見るがまさにその通りだろう。消費税が10%に上がり、男性と比べて給料は男性の6か7割どころか全体的に実質賃金は下降気味で女性の経済基盤はズタズタにされつつあり、極めつけは性差別の拡大である。そりゃ地獄以外の何物でもないだろう。

元々日本は人権になじみがなく階級意識がとても強く現代でもそれは続いており、電子機器が発達した現代においては差別を肯定している表現が多いアニメ、コミック、ラノベ、ゲーム、同人誌などのサブカルチャーや芸能界が温床となって日本の電子の海を駆け巡って差別の再生産がせっせと行われているのだろう。まあもちろんまともな作品も一杯あるし、好きな作品も一杯ある。だからこそ現状の改善は必要だと切に願ってるが、「人権問題が存在している」という事実を理解できない人が多いことに、仕方ないとはいえ辟易している。

閑話休題

スペインでの2017年から18年にかけての認知件数の増加は間違いなく何か社会が動いたに違いない。でなければこんなに急に増加するなんてことはないだろう。それで軽く調べてみたけど、わからない・・・。ただアメリカがわざわざ警告してくるあたり、どこかで一枚噛んでるのかと想像してしまう。それとも単純に女性の為に危険だということを伝えたいだけ?アメリカが出てくるとついつい疑ってしまう。

さておき日本と同じように暴行脅迫要件があることに驚いた。しかも相手が無意識状態であればレイプにならずに軽い罪になるのであれば、「デートレイプドラッグが横行するではないか」と思ったが既にずっと前から横行しているのだろう。「デートレイプドラッグ」という言葉がそもそも西洋産だ。被害の数も泣き寝入りの数も相当なのだろう。

女性差別の歴史は人類の歴史とも言える。しかし歴史的に女性の人権は拡大傾向にあるから私も根気よく頑張っていきたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

性的および身体的暴行により退職聖職者を告訴 カナダ【BBCニュース翻訳】

www.bbc.com

 

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性的および身体的暴行により退職聖職者を告訴

2020年2月14日

既に退職しているある聖職者が1950年代から80年代にかけてハイランドやイーストロージアンの学校での性的暴行に関与したとして18個の罪に問われている。

 

カナダのサスカチュワン州のクーパー出身で87歳のロバート・マッケンジーが、性的および身体的暴行の疑いで告訴された。犯罪は北ベリックのフォート・オーガスタス修道院とプレパラトリースクールで行われたとされている。インヴァネス州裁判所に彼が個人として出頭した時、抗弁をしなかった。この事件は更なる調査が進められており、マッケンジー拘置所に戻された。ハイランドの以前はカトリックの全寮制学校であったフォート・オーガスタス修道院で殆ど全ての犯罪が行われたとされている。また、今月の初旬に彼の身柄はカナダからスコットランドに引き渡された。

 

私見

日本では男性色の強い仏教がメジャーであまりなじみがないけど、聖職者による性的暴行っていうのは西洋世界では大昔からとてもありふれた話で、権力を利用して行う性犯罪の典型的なパターン。

っていう説明はさておき、私が一番驚いたのは「1950年から80年代」に行われた犯罪を告訴していることが普通に書かれていること。つまりカナダには性犯罪に関する事項がないこと。「ああそうだったね時効がない国ももちろんあるよね」と自身の視野の狭さを再確認できた。

日本は

強制わいせつ:7年

強制性交等罪:10年

と短すぎる。短すぎて頭が麻痺してた。

www.nhk.or.jp

「性犯罪の公訴時効に関する主要国の法制度の概要」

http://www.moj.go.jp/content/001130511.pdf

カナダとイギリスは時効がなく、フランスドイツアメリカ韓国は時効があり長めに設定されているケースもあるが、被害者の方のことを考えれば時効をなくすのが一番だろう。

www.swissinfo.ch

 自身の辛い体験に折り合いつけて加害者を告発するまでには何十年もかかることがあるのは普通で、折り合いをつけられないままの人も当然いる。そういう実態を完全に無視し短い時効を設けたままでいるのはまさに女性差別の象徴と言ってもいいだろう。

www.npa.go.jp

 

 

 

「チェルシーと考える:私と白人特権」は差別の裏側には必ず特権があると教えてくれる。

www.netflix.com

「白人特権なんてないよ」

そういう白人程特権という金属バットを無意識の内にぶんぶん振ってホームランをかましてる。「へいへい白人様のお通りだ」とは思ってなくても黒人の集会に堂々と来れること自体が特権の行使だという指摘は確かにその通りだと蒙を啓かれた。日常での具体的な所作や言動から既に差別や特権の行使は始まっているのだ。

スーパーでとりわけ注意深く監視されない、外を出歩くときに危険を感じない、不当な理由で逮捕されない、不当な理由で刑期延ばされない、なんなら不正をしても逃される、そして不当な理由で殺されない。(女性差別の観点からも挙げると、ドアを開けて直接配達員とやりとりをしなければならない宅配が怖くてできない、犯罪者が怖くて夜は外に出られない、体を露出する服を着れない、エレベータが怖い電車が怖いタクシーが怖いなどの密室に危険を感じて怖くて無理、女性が営業に来たらつまり枕をしてくれると思われる場合があるなど、尋常ではないほどの不利益を被る。)

「不当なことをされない」ということ自体がもう既に特権なのだ。かっこよく言えば被不当行為排除権。(大抵の特権保持者が自身の権利に気付けないからこそあえて主体的な言葉にしてみた。本当は知らないうちに能動的に行使してるんだぜ的なニュアンス)

しかしそれは実際に自らが不当なことをされなければ気付くことは難しい。なぜなら被不当行為排除権保持者にとってその不当なことは縁もゆかりもない話だからだ。その上形式上では「差別はなくなった」訳だから公で差別を行うことは難しいから現代では巧妙に差別が行われている。それでより差別構造が見えにくくなっており、被不当行為排除権保持者はそれにに気付くことが難しいことをこのドキュメンタリーは教えてくれる。

 

そしてその構造はあらゆる差別においてあてはまる。

よく見る

「偏見なんてないよ」

「差別なんてしないよ」

とくれば

「だから安心して」

という常套句。そしてその数秒後に地雷を盛大に踏んで自爆するのはよくある話。そういう人ほど結構根深いものを抱えてる。どうすればいいかって?知らない。

当事者が目の前にいるのに自身が無知であることが分からない。分かったつもりでいる。だから意味不明なことを堂々と宣うことが出来る。じゃあなぜ分かったつもりでいられるのか?なぜそれほど自らを全能感に浸せるのか?

つまりそれだけ知識の幅が狭く、外に広がることなく内向きになっているということで、自己中心的なのは明白だろう。

なぜ自己中心的なのか?つまり自分さえよければ良いという価値観が自身の多くを占めている訳だが、じゃあ意識的でも無意識的でもなぜそういう価値観を内在させるに至ったのか?っていうと様々な問題が考えられる。

まあ想像してみれば理由なんていくらでもあるけど。差別をするのは主に男性で男性に関することを例に挙げる。

日本でもセックス至上主義で童貞じゃない奴は凄い、たくさんセックスをしている奴はもっと凄い奴だなんていう、女性差別を前提にその上に男性間のカースト制度があって、それで最下位のカーストにいる人が最上位のカーストの人に嫉妬して「自分は誰ともセックスできない可哀そうな人間だ。だから誰でもいいから女性は自分にセックスを提供するべきだ」なんていう女性差別極まりない発言を平気でしてしまえる男性が割といると思うし、「とにかく少なくとも付き合うとか知らんけどとにかく誰とでもいいからただとにかくセックスをしたい」って思ってる若い男性はめっちゃ多いと思う。(たまにツイッターフェミニストが批判してるのを見る。それだけ女性が危険に晒されるからね)

「どれだけ多くの女性とセックスできるかどうかが男としての価値の高低を決めるとかしょうもなっ」って思うよね?けど本気にしてる男はいるんだよ一杯。それも世界中。(セックス至上主義はそれはそれで恐ろしく根深い問題ではあるけど)

 

確かに差別に「無知」は重要な要因だけど、現実の状況に違和感を持てるかどうかっていうことも重要だと思う。 

「セックスしないと人として価値がないっていうなら、じゃあどうしてセックスしないと人としての価値がないんだ?

てなるのはたとえそこそこの教養を持っていても難しい。人は何かと正当化しちゃいがちだからね。

「沢山セックスできる人はそれだけ多くの女性と関わることが出来る、つまり社交性がそれだけ抜きんでていたり、人を楽しませることが上手いっていうことだからね。それに常に彼女を持ってるいてセックスしようと思えばいつでも沢山気持ちの良いことが出来る。それを男として秀でているっていう言わずに何て言う?」

みたいなそれっぽいことを言われたり、自分で自分に言い聞かせたりしちゃう。女性の視点がゼロだし意味不明だけど。真に受ける人は真に受けちゃう。

 

環境に慣らされてるとおかしいことをおかしいって思うことはそうそうできることじゃないよねっていうことをドキュメンタリーは親切に教えてくれる。

黒人と白人の温度差が分かる。女性と男性の温度差。LGBTQAと異性愛の温度差みたいにね。

 

閑話休題

アメリカは400年以上も黒人を差別してきた。そして数十年前、形式上では差別はなくなった。しかし、たった数十年で差別がなくなるなんてありえない、良くなった部分はあれど今も昔とそう変わらないと当事者たちは語っている。

例えばニュージャージー州の刑務所では白人と黒人の数の比率で黒人が白人よりも2、30倍も高かったり(アメリカで一番高い)、悪意のある制度によって不当にアフリカ系アメリカ人投票権を奪ったりなど、差別は巧妙に仕掛けられている。

 

差別って難しいよね。

山本太郎さんも言ってたけど、「一番身近な人から輪を広げて広げていくのが大事」っていうのは間違いない。けどじゃあどう広めていくかって言うのはとても考えないといけない。

関心のある人は解説をすればそれで良くて、違和感を抱えてるけど言語化できていない人も一緒に言語化するのを手伝ってあげれば良い。けど関心のない人、なんなら誤解している人、さらに言えば分かってて「誤解」してる人をどうやって取り込むか、難しいよね。

Twitterを見ててもただただストレスを発散したかったり攻撃性を示すことによって相手を疲弊させることで優越感を得たくて女性に意味不明なことを言って攻撃する男って一杯いるからね。

差別って難しいね。