かしこいに

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準強制性交等被告事件(無罪) 岡崎支部H31.3.26について思ったこと

 

 

 

okumuraosaka.hatenadiary.jp

 はじめに

まず断っておきたいのは、私は学問に関しては素人であるということです。
法律の知識は法とは全く関係ない学部でちょろっと法律を勉強しているだけで、専門知識は殆どありません。判決文も全くと言って良い程読んだことないです。法律上では問屋(とんや)を問屋(といや)と読むことしか知りません。それに精神医学についても心理学及び臨床心理学についても同等に専門知識はありません。

既に反証されていたり間違ってたり同じこと言ってたり何言ってんのって思われるしれませんが、それでも感想として書き残しておきます。しょーもない駄文とでもなんでも思っといてください。

 

・強い離人状態とは言えない


 

www.msdmanuals.com
離人状態について上記のリンクの文章を読んだこと以上のことは分からないですが、「抗拒不能状態の裏付けとなるほど離人状態に陥ったものとまでは判断できない」ってどういうことなんでしょう。「離人状態になってないということは抗拒不能とはいえない証拠になる」ということになっていますが、これは広く言うと「精神状態が一見普通に見えればそれだけで抗拒不能ではないと言えることになり被告が無罪になることに有利になる」可能性があるということでしょうか。
判決文にもある通り弟たちや友達に迷惑をかけたくないとか、経済的な負担を強いたとか、被告人に要求された家事等を十分にこなせなかったとか、そういう負い目として自身の内に溜め込んでそれを悟られないようにしようとしていたりで、それでそこまで症状が強くないように見えているだけで、実際は心理的に支配されたまま、という可能性も考えられるのではないでしょうか。そういうところまで汲み取ることはできなかったのでしょうか。
症状が強くないから証拠としては扱えないっていうのはよくわからないです。症状が強くなくても「うんたらかんたらの経緯があって余り症状は重いものではないように見える言動行動を取っているが、それでも従属を受け入れざるをえないような状況に陥ってたことに変わりはない」みたいな。都合が良すぎるでしょうか。詳細に調べて柔軟に解釈して有罪になるのに有利な証拠として扱えるようにはならないのでしょうか。
小さな抵抗が少しでもあったらもうそれで抗拒不能とは認められないのでしょうか。ハードル高くないですか。

 

・小学校卒業後暴行は殆どなかったから暴行を恐れて性行を拒めなかったわけではない

→「殆どなくなったのだから拒めたであろう」とは横暴ではないでしょうか。むしろ小学校在籍時に暴行を受けて痛い思いをしたからこそもう暴行をされたくないからと自分から支配に屈さざるを得なくなったと考えるのが自然だと思います。どうして「暴行がなくなったからもう大丈夫、抵抗できる」ということになるのでしょうか。
暴力の傷跡がそう簡単になくなるなんてことはないでしょう。幼少の頃から虐待を受け、身の危険を、命の危険を、将来の危険を感じて、抵抗したら自分の命すらどうなるか分からないと思い知らされて、どうしてそれが小学校卒業後暴力がなくなったというだけでなかったことに、抵抗できたはずだと判断できるのでしょうか。結局支配に屈しようとせず抵抗しようとしていたらまた暴力をふるわれるのがオチでしょう。助けを求めたのもばれたらどうなるのでしょうか。
ですから聞き分けが良くならざるを得なくなったと考えるのが自然ではないでしょうか。それに家族に対する経済的負担をさせたり、弟や友達にも迷惑をかけたくない等、色々と理由があってそうせざるを得なかったというのもあるでしょう。
それでも抗拒不能とは認められないのでしょうか。やっぱりハードルが高くないでしょうか。

 

 

・性行することを拒めなくなるほどの強度の暴行は受けていない

 →拒めなくなるほどの暴行の基準って人によって違うし、おおアザ等の跡ができているのに抗拒不能ではないというのは中々難しいのではないでしょうか。殺される直前ぐらいにまでならないと抗拒不能にはならないのでしょうか。ものすごい力で暴行を受けているはずです。抵抗し続ければ体中にあざだらけ、骨も砕け内臓も損傷させられるという可能性、逃げてもお金もないしいずれは捕まえられて復讐としてまた暴行されるかもしれない、通報したという事実がばれたら警察が来る前に復讐として暴行されるという可能性等、周囲に迷惑もかけたくない、警察に行けても何度も二次加害を受けることになるかもしれなくてそれが嫌だ、などもはや抵抗することは自分がどうなるかわらかないし周囲にも迷惑をかけるということで無意味と判断して諦めて言う事を聞くようになることは自然だと思います。
親子関係という圧倒的権力を幼少より支配や虐待及び性的虐待の為に行使しているということは抵抗しても無駄だという刷り込みを何度もしていたでしょう。

 

 

 

 

判決文中にあった専門家の鑑定では抗拒不能だとしています。しかしなぜその意見を退け裁判所が独自に判断を下したのか。「あれ、専門家は抗拒不能としているのになんでそれをそのまま認めないんだろう。なんだかなあ。」と疑問に思ってました。上記のツイートの通り専門家の意見を退ける理由、そしてそれの基になる専門家による知見の提示が不可欠でしょうが、客観的に納得できる説明はありませんでした。

 

・学校の費用の負担をさせたり、被告からするよう言われた家事等を十分にできなかった

→費用を負担させたから仕方ない、親に言われたことを出来なかったから仕方ないっていうのはあくまでAさんが負い目として感じていたということであって、被告人に対して有利に働くようなことではないと思います。なんならそうやって負い目を感じさせることでより支配を強めることができたはずで、むしろAさんが抗拒不能だったことを証明するのにより有利に働くような証拠ではないのでしょうか。
親に対して不利益を被らせたからといって性的虐待を受けたのは仕方ないというのであれば、それっぽいこじつけでいくらでも性的虐待を加えられる証拠ができるのではないでしょうか。

 

・アルバイトで8万円の収入があるから、監護権を持つ被告人の意向に逆らうことが全くできなかったとは言えない

→「全く逆らうことができない状態とは言えないからそのお金で家をでるなりで逆らうことができたはずだから」というのは乱暴ではないでしょうか。家を出ることがどれだけ勇気と力がいることか分かっているのでしょうか。手っ取り早い手段は友人の家でしょうが、まず泊まらせてくれるかどうか、そしていつまでもい続けるわけにもいかないでしょう。まさか野宿をしてでも逃げろとは言わないでしょう。しかし、昔からの差別に「男性は特に何もしないけど女性は差別に対して死ぬ気でもって反抗するべきだ」というものがあります。そういうことでしょうか。家を借りることは単独で年齢的にも金銭的にもできず、どうしようもない。一人暮らしの為に住居を変えようが親の同意が必要でその時知られるので、連れ戻されることはなくても性的虐待を受け続けることは目に見えていますし、まず親が性的虐待の為に一人暮らしをすることを許さずに手元に置いておこうとすることも目に見えています。

https://blog.ieagent.jp/hitorigurashi/miseinenhitorigurashi-59515

↑未成年の方が部屋を借りるには親の同意が必要です。

つまり家を出るとなるとネカフェや公園等不安定な場所で生きざるを得なくなるでしょうし、居所を知られたり連れ戻されたりしたら復讐や罰として暴行され性的虐待の頻度が上がるかもしれないという極めて高いリスクを抱えてでも、家出をして逃げないいとおかしいとでも言いたいのでしょうか。
非現実的ではないでしょうか。
諦めて服従するしてできる限りの安全を確保すした方が賢明ではないでしょうか。

そして過去に公的機関に相談しようとしていたこともあることについて、公的機関に相談すれば直ちに父親との関係について安全と言えるレベルになるまで保障される訳ではないので、当然かなりの恐怖が付きまとうでしょう。相談したことがばれたら復讐されるかもしれないし、代わりに友達が相談してあげた場合もその友達が何をされるかわからないといった恐怖もあるでしょう。そして相談して事が動いても何かと理由を付けられて公的機関やAさんが言いくるめられて何事もなかったことにされ結局虐待を受け続ける日常に戻るかもしれないし、そこそこ上手くいっても不起訴になるかもしれない、等、上記のことを考えていたかどうかは分かりませんが、考えていてもおかしくはないでしょうし、そもそも公的機関に相談や届け出に行くにはかなりのパワーが必要でしょう。ですから相談や届け出を諦めたことについてもそれだけ従属盲従状態であったり、疲弊していたともいえるのではないでしょうか。

そして「弟たちに迷惑がかかるかもしれない」と証拠として挙げられた思考の断片についても、自分が我慢すればそれで良いかのような従属盲従状態に陥ってたことは明白でしょう。

 

「被告人がAの人格を完全に支配し,Aが被告人に服従・盲従せざるを得ないような強い支配従属関係にあったとまでは認め難い。」

以上の事から、服従・盲従せざるをえないような支配従属関係にあったと認められないことについて冷徹で残酷だと思いますが、どうなんでしょう。

 

 

 

 

keiji-pro.com

→強制性交等罪、準強制性交等罪、監護者わいせつ罪、監護者強制性交等罪について

 

news.yahoo.co.jp

 

http://www.gender.go.jp/kaigi/senmon/boryoku/houkoku/pdf/hbo07s-10.pdf

→昔で言うところの強姦罪や強制わいせつ罪の起訴率は大体50%です。不起訴の内容については前者が嫌疑不十分が半分くらい、後者が告訴取り消しが7、8割程度。
取り調べ等様々な苦難を乗り越えてやっと起訴直前まできたのに嫌疑不十分で不起訴になる割合が全体の2、3割もあります。

 

https://www.npa.go.jp/toukei/seianki/H29/h29keihouhantoukeisiryou.pdf

→平成29年度の刑法白書

 

www.npa.go.jp

→被害態様別被害申告率という正確な数字で統計として把握できるものですら性的事件については7割ほどが届け出なしとなっていますが、無回答も含めると8割を超えます。届け出なしだけを見ても全項目中で一番比率が高く、やはり性的事件がいかに警察に届けるまでのハードルが高いかの裏付けとして有効でしょう。推測ですが、おそらく現実では9割以上が届け出なしなのではないでしょうか。

anond.hatelabo.jp

→この記事からも分かる通りもはや警察に届けることについては論外と判断しているケースが多いのではないでしょうか。

 

hakusyo1.moj.go.jp

→痴漢と盗撮の再犯率が突出して高く、それより下ではで強制わいせつ小児わいせつが同程度。痴漢と盗撮については国や企業による対策が依然としてあまりなされていない現状がやはり再犯のしやすさに寄与しているのでしょう。例えば満員電車やトイレはあまりにも典型的なパターンでしょう。女性専用車両という専用の区域を作ることは一定程度効果があるようには思えますが、他の統計も併せて見てみればまだまだ対策が足りないことは明瞭でしょう。
再犯率の高さから見て、痴漢以外については半数もの再犯者の再犯期間がおよそ500日以上もあるというのは、それまでにも認知されていない犯罪を積み重ねてきてやっと逮捕されたからそういう数字になっているという可能性は否めないでしょう。痴漢の再犯期間が短いことについては、短期間のうちに犯罪を反復しており、痴漢しやすい環境がありそうではあっては比較的検挙されやすくもあることから再犯期間が他と比べてかなり短いのでしょう。
「何らかの計画性や,事前に犯行に関連するような性的な思考や空想が認められた者」が再犯者の89.4パーセントを占めることもあり、それを逆手にとって犯行計画を根本から立てられないような環境を構築することが重要でしょう。
そして動機について、最上位の「接触欲求充足」が圧倒的に選ばれている。自身の欲求を満たすために女性の人権を侵害して満たす割合が圧倒的に高いということについて、日本の人権教育が普遍的に浸透していないことを証明する一つの有益な証拠でしょう。
このことからもやはり人権教育、ジェンダー教育等、日本に蔓延っていた差別を直視し批判しこれ以上の差別は許さない旨を教科書に掲載したりかつ教育政策として組み込むことが長期的視点に立った場合必要でしょうが、教師の給料、激務、時間不足、人手不足等現状を踏まえて考えると、中々厳しいのでしょうが、その辺りの構造についてもどうにかしないといけないのでしょう。そのあたりの構造の具体的問題等の勉強はあまりしていないので、今後していきたいですね。

news.yahoo.co.jp

→休憩を取ることが前提になっていないという時点で相当ブラックなことがうかがえますし、学校はブラックな職場としてよく記事になっていますよね。